マニュアル動画の作成時間を80%削減
製造現場の技術継承をスマホひとつで実現


株式会社日立アイイーシステム
- 生産本部 本部長朝倉 信幸 様
- 生産本部 製造部 部長磯野 満之 様
- 生産本部 生産統括部 電機生産管理課 課長田中 義典 様
- 生産本部 製造部 工作課 組長木全 雅也 様
- 生産本部 製造部 工作課 組長補佐村田 洋 様
- 生産本部 製造部江﨑 伸次 様
株式会社日立アイイーシステムは、日立製作所グループの一員として1962年に創業し、「社会・産業」「電力」「情報」など多様な分野で事業を展開する企業です。産業用蓄電池システム、全天候型シェルター受変電設備、監視制御システム、電力保護制御システムといった電気機械器具の製造を通じて、社会に貢献しています。また、従業員の健康増進にも力を入れ「健康経営」を推進。2025年度には「健康経営優良法人2025(大規模法人部門)」に認定されました。

そんな同社では、製品の約8割がオーダーメイド製造であるためにマニュアルの標準化が難しいことに加え、社員の高年齢化による技術継承に課題を抱えていました。今回は、「ナレッジ動画」の導入・推進担当の方々に、どのように課題を解決したのかお話を伺いました。




POINT
課題
- オーダーメイド製品のマニュアル標準化が困難で、口頭伝達が主流だった
- 紙のマニュアルはページ数が膨大で、情報を探すのに時間がかかり非効率だった
- 技術の属人化や教育の個人差により、品質にばらつきが生じるリスクがあった
導入の
決め手
- スマートフォンだけで動画の撮影・編集・共有ができ、特別なスキルが不要
- 検索機能によって、目的の動画にすぐアクセスできる
- 導入コストが安価な上、グループ全体のセキュリティ基準にも適合
活用・効果
- 1本あたり5時間かかっていた動画編集時間が80%削減
- 属人化が改善されトラブル対応力が向上。設備の停滞時間が減少した
属人化や高年齢化により次世代への技術継承が急務
スマートフォンひとつで完結できる点が決め手
⸺「ナレッジ動画」の導入前は、どのような課題を感じていたのでしょうか?
弊社は、約8割がオーダーメイド製造で、製品ごとに製造方法が異なるため非定型的な業務が多く、統一したマニュアルの整備が困難でした。そのため、OJTによる口頭での技術継承が主流となっており、必要な情報が文書化されていない状況でした。社員は「人に聞く」「社内PCから探す」といった手間が発生し、情報の取得に時間がかかって作業効率が低下していました。
紙のマニュアルが存在する場合もありますが、ページ数が膨大で目的の情報にたどり着くのが困難なうえ、新入社員でもわかるよう詳細に作成する必要があり、マニュアルの作成・運用ともに大きな負担となっていました。結果として技術やノウハウが属人化しており、OJTでは教え方に個人差もあるため、製造品質に影響を及ぼすリスクも抱えていました。
加えて、弊社は社員の平均年齢が45歳と比較的高く、今後数年で多くのベテラン社員が定年を迎える見込みです。今のままでは、ベテラン社員の退職後は製造品質を維持できなくなる恐れがあるため、ナレッジやノウハウを次世代へ継承する必要性を強く感じていました。
このような課題を背景に、3年ほど前から動画でのマニュアル作成に取り組み始めました。スマートフォンで撮影した動画に文字や矢印などの編集を加えていましたが、5分程度の点検作業の動画制作に、作業理解も含め2週間ほどかかっていたため、より効率的な動画マニュアルの作成方法を模索していました。


⸺そのような中で、「ナレッジ動画」の導入を検討されたきっかけを教えてください。
製造業向けのDX展示会で情報収集をしていた際に、「ナレッジ動画」の存在を知りました。他社製品も比較検討した結果、スマートフォンだけで動画の撮影・編集・共有まで完結できる点が現場向きだと感じ、興味を持ちました。
L is Bさんのブースで詳しい説明を受け、実際に現場の作業員にトライアル版を使用してもらったところ、「使いやすい」と好評でした。導入費用が安価であったこと、グループ会社全体のセキュリティ基準を満たしていたことも決め手となり、導入を決定しました。
設備操作や安全関連の動画を約60本作成
ハッシュタグを工夫し、検索性を向上
⸺現在のご利用人数や、作成されている動画の内容についてお聞かせください。
部門ごとの導入メンバーを筆頭に、約45名が「ナレッジ動画」を利用しています。
動画は、設備の操作関連や安全に関するものを主に作成しており、現在約60本アップロードしています。設備操作に関する動画では、レーザー加工機のメンテナンス手順やアラームの解除方法などを、安全に関する動画では、保護具の正しい着用方法や設備の点検手順、注意事項をまとめたものなどを制作しています。
⸺動画作成の手順や工夫している点を教えてください。
撮影は、作業者、撮影者、説明者の3人体制でおこなっています。撮影前にはシナリオを作成し、要点を意識して撮影することで、わかりやすく端的な動画が作成できるようになってきました。
また、撮影や編集のハードルを下げるため、作業のポイントやセクションごとに動画を分けて作成しています。これにより後から修正が必要になった際も柔軟に対応しやすくなりました。


注意喚起やノウハウ共有の動画では、良い例と悪い例の両方を動画に含めることで「何がNGか」を明確化し、より深い学びにつながるようにしています。自作の〇✖札を使っていましたが、最近「ナレッジ動画」内で図形や文字を挿入できる図形アノテーション機能が実装されたと伺ったので、次回は活用してみたいと思います。


撮影した動画は、朝礼や定例の報告会で紹介することで周知しています。
⸺運用ルールや気を付けている点はありますか?
検索性向上のため、ハッシュタグの付け方を統一しています。部門や内容で階層分けしたハッシュタグを付与することで、自分に関連する動画を簡単に探せるようになりました。


また、視聴時の見やすさを考えて撮影は基本的に横向きとし、動画の長さは2〜3分にまとめています。カメラアングルは引きと寄りを意識し、手ブレ防止スタンドや照明、マイクなども活用しています。
さらに情報セキュリティへの配慮として、顧客名や個人情報、図面全体などが映らないように撮影前に初期教育もおこなっています。


動画マニュアル作成時間が80%削減
情報伝達の幅が広がり、誰でも対応できるように
⸺「ナレッジ動画」を活用してよかった点を教えてください。
動画作成スキルが不要で、スマートフォン1台で撮影・編集・共有まで完結できる点は、非常に助かっています。現場の作業者が短時間で手軽に動画を作成できるため、現場での活用が進んでいます。高年齢化が進む現場において、「ナレッジ動画」はわかりやすく簡単に操作できるツールとして非常に有用だと感じています。YouTubeのような感覚で気軽に視聴できる点もいいですね。
導入時にはL is Bさんから、撮影・編集のコツの伝授や、グループ会社全体でのセキュリティ審査のサポートもしていただき大変助かりました。また、図形アノテーション機能などの追加要望にも迅速に対応いただき非常に驚きました。ユーザーに寄り添った開発・サポート体制を感じます。


⸺「ナレッジ動画」を導入して、どのような効果がありましたか?
得られる情報が多い動画を、「ナレッジ動画」で手軽に作成・共有できるため、情報伝達の幅が広がったと感じています。オペレーターが少なく属人化していた設備のエラー対応は、動画を視聴することで誰でも対応可能となり、設備の停滞時間が減少しました。
また導入前は動画マニュアルの編集に約5時間ほどかかっていましたが、「ナレッジ動画」を活用したことで1時間もかからずアップできるようになりました。内容によっては、編集なしでそのまま公開できるケースもあり、業務効率が大幅に向上しました。特に、字幕や概要欄は生成AIが自動で作成してくれるため、文章の作成や入力にかかる時間が削減できています。

「ナレッジ動画」を、会社全体で活用できるようにしたい
⸺「ナレッジ動画」の今後の活用について、ご検討されていることはありますか?
資料に動画のURLやQRコードを載せることで、協力工場などの教育指導にも活用していきたいです。訪問の手間を削減し、効率的にノウハウの伝達や指導ができればと考えています。また、現場業務だけでなく、間接業務への活用も検討中です。CADの操作方法など、既存の紙マニュアルの補足として「ナレッジ動画」を活用し、資料を充実化できればと思います。
現在、生産本部が中心となって「ナレッジ動画」の活用を進めていますが、今後は社内全体へ展開していく予定です。最近の社内発表会では、すでに2部門が動画活用への意欲を示しており、今後さらに多くの部署で多様な使い方が生まれると感じています。
概要や機能をご紹介
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