製造・メーカー

動画を次世代への技術継承に活用
「不明点はナレッジ動画を検索」で時間削減とスキルアップに

ホーチキ株式会社

ホーチキ株式会社

  • 営業本部 施工推進部 部長川島 洋一 様
  • 東京支店 施工管理部 施工第三課 課長横濱 俊一 様
  • 東京支店 施工管理部 施工品質課 係長美邉 慧 様

ホーチキ株式会社は、日本で最初の火災報知機メーカーとして1918年(大正7年)に創立以来、一世紀以上にわたり業界をリードしてきました。製品の研究・開発、製造、販売、施工、メンテナンスまでを一貫しておこない、その品質は世界中から高い評価と信頼を受けています。現在の事業展開エリアは世界129の国と地域に広がっています。「人々に安全を」「社会に価値を」「企業をとりまく人々に幸福を」を経営理念として掲げ、災害による犠牲者がゼロの世の中を目指し、挑戦を続けています。

同社では、現場でのOJTを中心に技術継承をおこなってきましたが、より効率的な教育のあり方を模索していました。今回は、導入・推進を担当された方々に、企業向け技術継承ソリューション「ナレッジ動画」の活用による課題解決と、視聴促進の工夫について、お話を伺いました。

ホーチキ株式会社のオフィス
ホーチキ株式会社のオフィス

POINT

課題

  • OJTを通じた対面での指導が中心で、ナレッジの共有が難しかった
  • ベテランの技術者が多く、技術を継承していく必要性を感じていた
  • 現場を直接見ないと理解が難しい業務も多く、マニュアル化が進まない

導入の
決め手

  • 「direct」を導入しており、L is Bが提供するサービスの、国産という信頼性やユーザーに寄り添った利便性を実感していた
  • 一般的な動画サービスのような視聴のしやすさと、ビジネス利用に適したセキュリティ面が両立している

活用効果

  • 動画で共有することでOJTの場にいない人のスキルアップにもつながり、教育の効率が向上
  • 「わかりやすい」と社内でも好評で、他支店からも関心が集まっている

ベテランの技術の継承に課題
対面によるOJTが中心でマニュアル化が進まない

⸺「ナレッジ動画」導入以前、技術継承やマニュアル共有はどのようにおこなわれていましたか?

施工現場での、OJTを通じた対面での指導が中心でした。マニュアルもありましたが、現場によっては用意されていないケースもあり、十分に活用されているとは言い難い状況でした。現場を直接見ないと理解が難しいケースも多く、マニュアル化が進まないという課題もありました。また、マニュアルには社外秘の情報も多く含まれているため、そのまま協力会社に共有することはリスクも伴います。

協力会社従業員の年齢層も上がっており、引退によって技術が継承できなくなる問題も発生していました。

さらに、日常的に扱わない特殊な設備は、資料だけでは把握が難しく、実物を見なければ理解しづらい場面もありました。こうした点も、技術継承や情報共有の課題につながっていました。

技術継承の課題について話す美邉様
技術継承の課題について話す美邉様

動画ごとに閲覧制限ができて安心
「direct」を提供するL is Bに信頼感もあった

⸺ナレッジ動画を知ったきっかけを教えてください。

以前から建設DXの一環として、L isBさんの現場向けビジネスチャット「direct」を活用していました。プライベート利用しているチャットツールでは情報漏洩の懸念があったため、国産でありセキュリティ体制も整っている「direct」を導入したのです。さらに「direct」は、基本機能以外にもユーザーに寄り添った便利な機能がたくさんあり、非常に使いやすいと日常的に感じていました。そのなかで、「ナレッジ動画」のリリースを伺ったのです。

視覚的に情報を蓄積できる「ナレッジ動画」なら知識の共有がしやすいことに加え、L isBさんの製品であれば利便性やセキュリティ面も安心して利用できると思い、導入を決めました。

⸺導入にあたり、重要視していた機能や条件はありましたか。

一般的な動画サービスのような視聴のしやすさに加えて、閲覧者を限定できることです。「ナレッジ動画」には、「協力会社のみ」「社員のみ」といった閲覧範囲を動画ごとに設定できる機能があります。必要な人だけに動画を届けられる点に、大きな安心感がありました。

導入の決め手について話す横濱様
導入の決め手について話す横濱様

社員に加え、協力会社とも利用
QRコード発行や「direct」を活用した共有でより効果的に

⸺現在のご利用人数や、作成されている動画の内容についてお聞かせください。

現在、ホーチキと協力会社の合計300名弱で利用しており、主に現場で役立つ実践的な内容を動画にしています。

機器操作やデータ変更の方法、感知器の取り付け手順、試験治具の使い方をはじめ、非常時対応などを記録として動画に残す場合もあります。非常時の様子も動画で共有しておくことで、他の担当者が同じ状況に直面した際の参考にしています。以前は電話で確認していた細々とした内容も、動画で共有することで、担当者同士の情報伝達がスムーズになりました。

ホーチキ様の実際の動画一覧画面
ホーチキ様の実際の動画一覧画面

⸺動画の作成はどのようにおこなっていますか?

現場担当者が数名いるので、作業者と撮影者の2名体制で撮ってもらっています。編集に関しては、ナレッジ動画の編集機能に加えて、iPhoneの動画編集アプリを使い、わかりやすくかつ興味を惹く動画になるように工夫しています。

参考にしているのは、一般的な動画サービスの動画です。視認性を高めるため、文字や写真を組み合わせて制作しています。現場では音が出せないケースもあるので、字幕のみでもしっかり伝わるようにしています。

字幕については、生成AIが音声を自動で字幕にしてくれる機能が非常に役立っています。概要文も生成AIが作成してくれるので、とても便利ですね。

動画の内容や編集の質は、導入当初に比べて格段に向上しており、日々の業務に欠かせないツールになりつつあります。

生成AIが概要文を自動作成
生成AIが概要文を自動作成
動画撮影の様子 動画撮影の様子
動画撮影の様子

⸺撮影した動画は、どのように共有していますか?

完成した動画を周知する際は、動画URLを発行し、「direct」で共有しています。

日常的に使う「direct」のグループトークで動画URLを共有し、視聴を促進
日常的に使う「direct」のグループトークで動画URLを共有し、視聴を促進
※画像はイメージです
directの「掲示板機能」にも動画アップロードを投稿している
directの「掲示板機能」にも動画アップロードを投稿している

最近は、動画のQRコード発行機能も活用し、紙に印刷して掲示する取り組みも始めました。たとえば、実習用デモ機器の操作手順やオフィス内給茶機のメンテナンス手順等のQRコードを貼っておけば、初めての人でもすぐ動画にアクセスして作業に取り掛かることができるため、とても便利ですね。

QRコードご利用イメージ 1.動画を撮影 2.QR発行、機器へ貼付 3.スマホで動画にアクセス!

利用浸透の秘訣は、ハッシュタグを活用した検索性の向上

⸺人気のある動画はどのようなものですか?

データ変更や取扱説明の動画は人気があります。便利グッズを紹介する動画も非常に反響を得ており、意外な動画が皆さんの役に立っていることがわかりました。動画に「いいね」がつくことがモチベーションの一つになっており、楽しみながら運用しています。

⸺利用浸透のため工夫している点があれば教えてください。

投稿する際に複数のハッシュタグをつけることで、見たい動画にアクセスしやすくしています。ハッシュタグで絞り込むとそれに関連したさまざまな動画が出てくるため、他の動画への流入にもつながります。また、検索性を高めるため現場名も概要欄に記載しています。

視聴者の興味を持続させるため、動画は基本的に5分以内に収めるようにしています。また、テロップやBGMを挿入することで、設備に詳しくない方でも理解しやすい動画を心がけています。

#(ハッシュタグ)などで検索 #(ハッシュタグ)を一覧で確認

わからないことは「ナレッジ動画を検索」して解決
教育にかかる時間が大幅に削減

⸺「ナレッジ動画」を使う前と後での変化を教えてください。

OJTはその場にいる人だけにしか知識が伝わりませんが、「ナレッジ動画」を活用することで、誰にでも情報を共有できるようになりました。動画として記録に残り、繰り返し視聴できるため、教育にかかる時間の削減にもつながっています。

不明点があれば「まずナレッジ動画を検索する」という習慣ができつつあります。他支店からも「ナレッジ動画を活用したい」との声が上がっており、社内で好評を得ているようです。

「ナレッジ動画」を導入したことで、今まで埋もれていたベテランのナレッジを、アウトプットして共有してもらえる場が生まれました。これまであまり接点のなかった協力会社の従業員とも話しをする機会ができ、新たなコミュニケーションが形成されつつあります。皆さんとても親切で「教えてください」という言葉に真摯に向き合ってくださる方たちばかりです。そのような方々と接するたびに、弊社のアットホームな企業文化がよく表れていると感じます。動画を制作する中での直接的な会話はもちろんですが、「いいね」や「閲覧数」を介した交流も生じ、新たなコミュニケーションが育まれています。

また、新しいツールに抵抗感を持つ方々にとっても「ナレッジ動画」はDX推進における助けとなっていると感じています。

⸺今後、ナレッジ動画をどのように活用していきたいですか?

施工計画書やKY活動用書類に動画のQRコードを添付することで、よりわかりやすく効果的な資料にしたいと考えています。

また、将来的には全国の支店で「ナレッジ動画」を活用したいと考えています。蓄積されたナレッジは当社にとって重要な財産になっていると感じていますので、会社全体で有効に共有、活用していきたいです。

ホーチキ株式会社 美邉様 横濱様